★★★ ホームレス・マンから宿泊所を取り上げる残酷な警察庁
http://getnews.jp/archives/125432
深夜、終電に乗り遅れてしまったときなどに、ネットカフェやマンガ喫茶に泊まった経験を持つ人も多いだろう。
食事もできて寝る場所があって、マンガやネットといった娯楽があって、しかも安い。終電に乗り遅れるとそれなりの失望感や自己嫌悪を感じたりしてしまうけれど、ネットカフェやマンガ喫茶はそれを軽減してくれる存在だ。
ところが、そんな「困ったときの憩いの場所」がなくなってしまうかもしれない!
東京都では昨年7月、利用者の本人確認を義務づける「ネットカフェ規制条例」が施行されている。いわゆるサイバー犯罪を取り締まるためだ。
「インターネットは匿名」というのは一種のコモン・センスになっているけれど、じつはとんでもない誤解だ。「ネットにアクセスする」ということは「自分がいる場所と時間を表明する」のと同じこと。だから、ネットで悪さをするには、よほど気をつけてやらなきゃすぐに捕まる。
2008年の秋葉原での連続通り魔殺人事件以降、警察はとくに「掲示板への匿名の書き込み」に目を光らせている。「○○を殺します」「○○を爆破します」というような危険な書き込みをすれば、それが本気であろうとなかろうと、おまわりさんが飛んでくる。書き込んでから数時間で逮捕された、という例もあるぐらいだ。「時間と場所」がわかれば、犯人特定は容易にできる。
ところが、ネットカフェやマンガ喫茶のPCは違う。悪さをしたのが「そこから、○日の○時だ」ということが特定できても、その後の捜査が難しい。そのとき、このPCを使っていたのは誰か?記録をとってなければわからないだろう。それで、「ネットカフェで利用者の本人確認をしよう」という発想につながってくる。
6月23日におこなわれた警察庁の有識者会議で、東京都条例になっている本人確認を全国に広めよう、という検討がなされた。
たぶん、直接の引き金となったのは昨年11月の尖閣諸島沖の中国漁船衝突映像の流出事件だろう。これは、「神戸のマンガ喫茶」が犯行現場として使用されている。ほどなくして犯人が名乗り出たため事件は解決を見たが、もし名乗りでなかったなら捜査には相当の時間と手間が必要だったに違いない。
こうしたことが行われた際、すぐさま逮捕できるように。「都条例」が「法案」になり、「法律」になるのも時間の問題だろう。まあ、これは仕方ないのかな、と思っている。悪さの温床になっていたのは事実だからね。
ところが、どうも警察庁はこれだけじゃ納得してないみたいなんだ。
ネットカフェやマンガ喫茶の個室は、「風営法の許可がない場合は違法」として今年4月、指導を強めるよう全国の警察本部に指示していた。どうやら個室が気に入らないらしい。児童売春の温床になるってさ。
詳細は下記の毎日新聞のリンクを見てほしいんだけど、「風営法の許可」を得たとたん、営業時間は深夜12時までになってしまう。つまり、「個室の宿泊客」を全滅させるための行動だ、と解釈していい。
これはマズイぞ、と思った。要は、警察庁は「ネットカフェやマンガ喫茶に宿泊する」人たちを追い出したくて仕方ないのさ。
ホームレス・マンは公園に寝てる人たちばっかりじゃない。ネットカフェやマンガ喫茶にだって生活している人たちがたくさんいる。こうした人たちを追い出して、そしてどこに行かせるつもりだろう? まったく、世のプラスにならないことに税金を使うのはよしてくれよ!
児童売春の温床だって? 本人確認が義務化されれば問題ないだろう。
もし、さきの本人確認と風営法の徹底が同時進行しているのなら断固として反対したい。家のない人の「寝る場所」を取り上げるなんてとんでもないよ。
このご時世だ、ほかにやることもたくさんあるだろう。たいがいにしてくれ警察庁。
ネットカフェ利用に本人確認警察庁が制度づくりへ
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY201106230157.html
ネットカフェ個室はダメ!!警察庁「児童買春の温床に」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011062202000033.html
(草野真一)
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深夜、終電に乗り遅れてしまったときなどに、ネットカフェやマンガ喫茶に泊まった経験を持つ人も多いだろう。
食事もできて寝る場所があって、マンガやネットといった娯楽があって、しかも安い。終電に乗り遅れるとそれなりの失望感や自己嫌悪を感じたりしてしまうけれど、ネットカフェやマンガ喫茶はそれを軽減してくれる存在だ。
ところが、そんな「困ったときの憩いの場所」がなくなってしまうかもしれない!
東京都では昨年7月、利用者の本人確認を義務づける「ネットカフェ規制条例」が施行されている。いわゆるサイバー犯罪を取り締まるためだ。
「インターネットは匿名」というのは一種のコモン・センスになっているけれど、じつはとんでもない誤解だ。「ネットにアクセスする」ということは「自分がいる場所と時間を表明する」のと同じこと。だから、ネットで悪さをするには、よほど気をつけてやらなきゃすぐに捕まる。
2008年の秋葉原での連続通り魔殺人事件以降、警察はとくに「掲示板への匿名の書き込み」に目を光らせている。「○○を殺します」「○○を爆破します」というような危険な書き込みをすれば、それが本気であろうとなかろうと、おまわりさんが飛んでくる。書き込んでから数時間で逮捕された、という例もあるぐらいだ。「時間と場所」がわかれば、犯人特定は容易にできる。
ところが、ネットカフェやマンガ喫茶のPCは違う。悪さをしたのが「そこから、○日の○時だ」ということが特定できても、その後の捜査が難しい。そのとき、このPCを使っていたのは誰か?記録をとってなければわからないだろう。それで、「ネットカフェで利用者の本人確認をしよう」という発想につながってくる。
6月23日におこなわれた警察庁の有識者会議で、東京都条例になっている本人確認を全国に広めよう、という検討がなされた。
たぶん、直接の引き金となったのは昨年11月の尖閣諸島沖の中国漁船衝突映像の流出事件だろう。これは、「神戸のマンガ喫茶」が犯行現場として使用されている。ほどなくして犯人が名乗り出たため事件は解決を見たが、もし名乗りでなかったなら捜査には相当の時間と手間が必要だったに違いない。
こうしたことが行われた際、すぐさま逮捕できるように。「都条例」が「法案」になり、「法律」になるのも時間の問題だろう。まあ、これは仕方ないのかな、と思っている。悪さの温床になっていたのは事実だからね。
ところが、どうも警察庁はこれだけじゃ納得してないみたいなんだ。
ネットカフェやマンガ喫茶の個室は、「風営法の許可がない場合は違法」として今年4月、指導を強めるよう全国の警察本部に指示していた。どうやら個室が気に入らないらしい。児童売春の温床になるってさ。
詳細は下記の毎日新聞のリンクを見てほしいんだけど、「風営法の許可」を得たとたん、営業時間は深夜12時までになってしまう。つまり、「個室の宿泊客」を全滅させるための行動だ、と解釈していい。
これはマズイぞ、と思った。要は、警察庁は「ネットカフェやマンガ喫茶に宿泊する」人たちを追い出したくて仕方ないのさ。
ホームレス・マンは公園に寝てる人たちばっかりじゃない。ネットカフェやマンガ喫茶にだって生活している人たちがたくさんいる。こうした人たちを追い出して、そしてどこに行かせるつもりだろう? まったく、世のプラスにならないことに税金を使うのはよしてくれよ!
児童売春の温床だって? 本人確認が義務化されれば問題ないだろう。
もし、さきの本人確認と風営法の徹底が同時進行しているのなら断固として反対したい。家のない人の「寝る場所」を取り上げるなんてとんでもないよ。
このご時世だ、ほかにやることもたくさんあるだろう。たいがいにしてくれ警察庁。
ネットカフェ利用に本人確認警察庁が制度づくりへ
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY201106230157.html
ネットカフェ個室はダメ!!警察庁「児童買春の温床に」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011062202000033.html
(草野真一)
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